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妖怪ウォッチを見始めたのは、「ジバニャンが可愛かったから」という理由なのですが、今ではストーリーにも惹かれています。
このアニメに出てくる多くのキャラクターは、個性的で可愛らしい見た目をしていますが、あくまでも「妖怪」。妖怪には「恐怖」や「死」というイメージが付きやすいものですが、このアニメはそれ「以上」のものが感じられる気がします。
例えば、35話に出てくる「ねちがえる」というカエルの妖怪。
この妖怪は、生前拾ってくれた整体院のおばあちゃんへ恩返しをするために、色々な人の首を「ねちがえ」させてしまうという妖怪。やめるように説得しに来たケータくんと一緒に、寂れてしまっていたおばあちゃんの整体院へ行くと、ねちがえるは「ケロちゃん整体院」という新しい看板と、大繁盛したお店を目の当たりにします。
寂れてしまっていた原因は、新しくできた健康ランドにお客をとられてしまったからなのですが、そこにいたのは昔の常連客ばかり。「やっぱりここがいいと思って」そう言って、たくさんの人がまたお店を利用してくれるようになっていたのです。
私がこのお話で注目したことは、ねちがえるが自分が死んだ後の世界を見る、ということです。
ねちがえるは心残りがあったから、この世に留まっていたわけですが、同時に、留まっていたからこそ、心置きなく成仏することができたのではないか、とも思うのです。
「おばあちゃんの整体院が前のように繁盛する」という願いが、叶っていること。
急にいなくなった自分のことを忘れず、今でも慕ってくれていること。
きっととてもうれしかっただろうなぁと思うのです。
現実ではそんなことはできませんが、このことで何を伝えたかったのだろうかと考えたとき、私は、「自分が死んだ後も、残った人たちは生きていく」ということではないかと思いました。よく、「それでも世界は回っていく」といった言葉を耳にしますが、まさにその言葉の通り。昨今、若者の自殺が多く報道されますが、このアニメの死生観は自殺へのあと一歩を留めるものになりうると思います。
一見「死」というものについて描かれたこの作品は、その「死」に裏打ちされた「生」というものの存在を、優しく、そして強く、感じさせるものであると思います。
年齢を問わず大変な人気を博している妖怪ウォッチですが、その理由はキャラクターの可愛さだけでなく、ここで表現される死生観が今の社会に必要であると、心のどこかで感じるからかもしれません。